【英語学習】IELTS Overall 6.5を取るまでにやったこと【おすすめの参考書】
こんにちは。この記事では、私が海外の大学院に出願する際に、どうやって英語力をあげたのかを書こうと思います。
私の出願した大学院では、IELTSの6.5またはTOEFL 79点が出願に必要なスコアでした。これは、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)でいうところのB2レベルに相当します。
この英語のレベル自体は、海外の大学院の出願要件としては低い方だったと思います。アメリカや、イギリスの大学院の出願には、もっと上のレベルが求められているのをみたことがありました。
しかし、海外の長期留学の経験はなく、帰国子女でもインターナショナルスクール出身でもない私にとっては、楽に手の届くスコアではありませんでした。
私が英語学習を始めたときのスコアはIELTSの5.5で、これは英検二級程度です。その語学力から、IELTS6.5まで伸ばすためにどんな勉強をしたのか、書こうと思います。
実際の私のスコア
初めてIELTSを受験してから約1年3ヶ月の間に、IELTSのOverallを1.0伸ばすことができました。
日付 | リーディング | リスニング | ライティング | スピーキング | OA |
---|---|---|---|---|---|
2019年12月 | 6.0 | 4.5 | 6.5 | 4.5 | 5.5 |
2021年3月 | 7.0 | 7.0 | 6.5 | 5.5 | 6.5 |
技能別にみてみると、以下のようになっています
リーディング +1.0
リスニング +2.5
ライティング +0
スピーキング +1.0
ライティング以外伸びています。特に、リスニングの伸びが目覚ましいです。
各技能ごとに、それぞれどんな対策を行なったのかみてみましょう。
リーディング
勉強を始めたとき、大学受験の時に英語の長文読解には慣れていたので、IELTSもリーディングはそれなりにできるだろうと思っていました。
しかし、実際はそうではありませんでした。文中の単語が分からなくて、長文の要旨を掴むことすらできず、問題を解くこともできませんでした。そこで、私は、語彙・構文解析・問題対策の三つに分けて対策を行いました。
語彙
語彙に関しては、「【音声ダウンロード付】実践IELTS英単語3500」を全面的に信頼して、この単語帳を使って対策を行いました。
この単語帳の特徴は、IELTSのスコアごとに単語が分類されており、自分が目標とするスコアに合わせて必要な単語を学ことができる点です。
また、IELTSに頻繁に出てくるような学術英語の語彙に幅広く触れることができます。この単語帳を覚えてからIELTSの過去問に取り掛かると、「単語帳でみたやつだ!」と思い出すことが何度もありました。
「単語を覚え、長文の中でその単語に出会い、意味を思い出す」という作業を何度も繰り返すことになるので、IELTSの過去問と併用しながら勉強すると非常に覚えやすいと思います。
構文解析
IELTSリーディングの長文には、一度読んだだけでは意味を取るのが難しい複雑な構文が出てきます。それでも、長文読解に割くことができる時間は限られているので、複雑な構文でも一度読んだだけで理解できるようになるのが理想的です。
構文を素早く取れるようになるには、色々な構文に触れ、どんな複雑な構文があるのか知ることが大切だと思います。
そのために、私は「大学受験のための英文熟考 上・下」という参考書を用いて構文の勉強をしました。この参考書の特徴は、各問題とその解説が2ページに収まっており、問題を解き、その構文についてじっくりと考えた後に、構文に関する解説を読むことができる設計になっている点です。
構文がただ無味乾燥に並んでいるのではなく、一度自分の頭で考えてから構文の解説を読むという構成になっている点が秀逸です。記憶に残りやすいと思います。
また、「大学受験のための」と銘打っていますが、もっと上級の学術英語の基礎を築くにあたって十分に信頼のおける内容だと思います。
問題対策
また、IELTSのリーディングの問題形式になれるために、「【音声ダウンロード付】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集 」という本を参考にして、どんな時間配分で解くのかを決めました。
問題のタイプごとの対策も掲載されていたので、一通り解いて感覚を掴みました。
また、IELTSの本番のリーディングは60分で3つの長文を読まなくてはならず、時間的に厳しいです。時間感覚を身につけるために、1日1つの長文をIELTSの過去問から選んで、20分以内で解く練習をしていました。
ライティング
ライティングは時間をかけて取り組んだ割に、伸びなかったです・・・。でも、IELTSのライティングにおける6.5→7.0の壁は非常に厚いと聞いているので、6.5の下の方から6.5の上の方に伸びたのではないかと個人的に解釈しています。
傾向を掴む
まず、「スコアに直結!IELTS徹底対策テキスト&問題集」で一通りのIELTSのライティング試験の流れ・定石を学びました、
IELTSのエッセイにも傾向や問題タイプがあるので、まずはそれを知った上で対策をした方が効率が良くなります。
また、英語のエッセイを書く基本(イントロダクション・ボディ・まとめの段落の構成、Topic sentenseなど)も、上記の本から学びました。
エッセイを書き、添削してもらう
一通り、IELTSのエッセイの書き方を学んだ後は、とにかく以下のことを繰り返しました。
エッセイをIELTSの本番と同じ時間内で解く
エッセイを書き終わったら、モデルエッセイを読んで写経して、使えそうな表現を覚える
書いたエッセイを添削してもらい、修正された箇所を復習する
1, エッセイをIELTSの本番と同じ時間内で解く
これについては、適切な問題が見つかればすぐに取り組むことができます。例えば、IELTSの過去問のライティングのパートや、インターネット上のIELTSの教材のウェブサイトなどです。
最近は、無料でもIELTSの対策をできるサイトがたくさんあり、そのサイトから問題を引っ張ってくることも可能です。
ライティングの教材が豊富なサイトを引用します。
IELTSbuddy - Free exam preparation to improve your test score.
IELTS Writing Practice Tests and Sample Answers.
IELTS Sample Questions with Answers.
2. エッセイを書き終わったら、モデルエッセイを読んで写経して、使えそうな表現を覚える
大抵のライティングの問題のにはモデルエッセイがついています。自分と必ずしも同じことが書かれているとは限らないので、参考にならないと思いがちですが、それは違います。
モデルエッセイには、英語のエッセイを書く上で重要な表現、完成された綺麗な表現がいくつも含まれています。
「書きたいと思っていたけどうまく表現できなかった」というようなことは、時間を測ってIELTSのライティングに取り組んでいたら誰にでもあることです。
そんなときは、モデルエッセイから、自分が使えそうな表現を探してみましょう。
良いなと思った表現をノートなどに書き出してまとめておいて、毎回IELTSのライティングをする時に見返して思い出す、という方法もおすすめです。
3. 書いたエッセイを添削してもらい、修正された箇所を復習する
自分が書いたエッセイは、英語の上手な人にみてもらいましょう。
誰にみてもらうか、ということですが、学生であれば通っている学校や大学の先生に個人的にお願いすることが考えられます。英語学習センターのような施設があればなお良いです。
また、オンラインの添削サービスを利用することも考えられます。
IELTS Answer's comというサイトでは、エッセイを10本70USDで見てもらえます。
また、私は、オンラインで語学留学をしていたときに、インストラクターにお願いしてエッセイを見てもらっていました。語学留学などの機会があれば、先生などにお願いしてみるもの良いと思います。
以下の記事にオンラインで参加できる語学研修についてまとめています。
リスニング
初めにスコアを書いた通り、私はリスニングが四技能の中で最も苦手でした。特に苦手であると自覚していたスピーキングと並んで、リスニングができなかったのです。
まず英語の音声などを聞いても全く聞き取れないという状態だったので、基本的なことから初めました。
発音
私には、大学受験を通して相当な数の単語を覚えてきたのに、音声となると全く分からなくなってしまうという課題がありました。
そこで、私は、「単語の綴りと、その音が結びついていないのでは?」という仮説を持ち、ひとまず綴と音の対応について一つ一つ学ぶことにしました。
まず、「英語耳」という教材を使って、子音・母音それぞれの発音を自分でもできるようになるまで聴き込んで練習しました。
この教材は、単に綴と音の関係を学ぶだけではなく、その発音が出てくる単語の例が豊富です。単語の発音をする中で、微妙に異なる母音の違いなどを学ぶことができました。
文章の聞き取り
つづりと音の対応を学び、IELTSの過去問に取り掛かっても、まだ聞き取れませんでした。聞き取れない箇所をマークして、その特徴を考えてみました。
すると、私は、単語同士が続く際に、前の単語の最後の子音が欠落したり、後の単語の最初の子音に前の単語の母音がくっついて聞こえたりする箇所が特に聞き取れないということがわかりました。
この英語の音の連結・欠落・変化などについて、学ぶ際に非常に役に立ったのが、「最強のリスニング学習法」という本です。
「最強のリスニング学習法」によると、これらの現象は「英語の音声変化」と呼ばれていて、以下の四つが代表的な例です。
- 連結(linking).
- 同化(assimilation).
- 脱落(deletion).
- 破裂が聞こえない破裂音(no-audible-release plosives). (最強のリスニング学習法 (CNN English Express編集部):より引用)
この本で、それぞれの種類の英語の音声変化について学ぶことができました。リスニングの題材も、CNNニュースのものを使っており、教材自体が非常に面白いです。
本には、その章で扱う音声のスクリプトが大きく書かれているのですが、英語で起こる音の変化をがスクリプトに書き込まれています。それをみながら、音声を理解し、自分でも合わせて読み上げることができるようになるという仕組みです。
シャドウイングとディクテーション
ある程度文章が聞き取れるようになったら、後はIELTS の過去問や問題集を用いて、ひたすらシャドウイングとディクテーションを行っていました。
過去問に取り掛かる前に、一冊だけ、英語初・中級者向け(本にはB1程度、英検3級程度)のIELTSリスニングの問題集に取り組みました。
こちらの問題集は、本番のIELTSよりも難易度が低く、リスニングの良い練習になりました。本番のIELTSの問題は非常にレベルが高いですが、私の場合はこちらの易しめの問題集を一冊挟むことによって挫折せずに済みました。
問題を解くだけではなく、その前のワークにも取り組み、また、問題を解いた後は、聞き取れなかった単語の復習や、シャドウイング・ディクテーション等で繰り返し復習を行っていました。
スピーキング
オンライン英会話で練習していました。カランメソッドという手法を用いて、Book 7 まで取り組みました。
また、英語が話せる人に練習に付き合ってもらったり、大学の語学テーブルに行って話したりしていました。
語学研修に参加していた際に、現地の学生のバディーに、IELTSのスピーキングテストの対策に付き合ってもらったこともあります。
IELTSのスピーキングは、会話のような形式で進むので、基本的な文法と語彙を身につけたあとは、ひたすら話す練習をするのが良いと思います。
私の場合は、「基本的な文法と語彙」はカランメソッドで身につけました。
終わりに
もともと小さい頃に英語を学んだ経験や、英語で生活した経験がなかったので、英語力を伸ばすのに苦労しました。そんな人でも、参考書やWebページなどを使って、独学でも英語の中級者くらいにはなれました。
語学力は、どんなに頑張っても満足のいくものにはならないと思っています。IELTSの5.5だった頃は、「IELTSの6.5を取れる人はきっと英語ペラペラなんだろうな」と思っていましたが、いざ自分がそのスコアに達してみたら、全くそんなことはありませんでした。
それでも学び続けるのは、もっと多くの人とコミュニケーションを取れるようになって、いろんな話をしたいという気持ちがあるからです。
留学している今でも、英語力が足りないと感じることが頻繁にあります。私は英語を一生学び続ける覚悟でいます。
英語力がC1(IELTS 7.5, 英検一級)レベルに達したら、また勉強法に関する記事を書こうと思います!それでは :)
【ドイツ大学院出願】立志編⑤ なんのために留学に行くのか、吟味する
【ドイツ大学院出願】立志編③ 学位留学について情報を集めるでは、留学の無料相談に乗ってもらったという話をしました。私は、留学のコンサルタントだけではなく、指導教員や、大学院留学を経験している先輩などにも相談をし、それを自分の意思決定に生かしました。
今回はそれらの特に役に立ったと思われるアドバイスと、それが私の決断に与えた影響について語ります。また、その過程で、私が学位留学をする目的・理由が明確になっていったことをお伝えします。
前回の記事はこちらです。
どれくらい分野を絞ってプログラムを探せば良いか?
こちらは、アメリカで修士を取った先生と、所属大学の指導教員からアドバイスをいただきました。前者からは、
将来企業に行きたいか大学に残りたいか決まっていないなら、数学・統計学だけでなくデータサイエンスなど応用的な分野の修士課程にも出願してみたら良い。
とのアドバイスをいただきました。私は学部の所属が数学科だったことから、なんとなく大学院でも統計学の理論的な部分にフォーカスしたプログラムを探しがちでした。その方が、出願にも有利だろうと思ったからです。
しかし、このアドバイスによって、データサイエンスやScientific Computingなどの、理論と実践の両方を重視したプログラムを含めて探すようになりました。
実際にデータサイエンスの修士課程2つと、Scientific Computingの課程1つ、そして数理統計学の修士課程に1つに出願することにしました。
また、指導教員からは、
実際にそのプログラムに入って何をしたいのか明確にした上で、出願するプログラムを決めた方が良い。
というアドバイスをいただきました。私は学部時代に数学・統計学を学んできた中で、その他分野への応用に興味を持つようになりました。ですので、他分野(心理学・経済学・生命科学等)と結び付けてデータサイエンスを学ぶというコンセプトのプログラムを第一志望と第二志望に据えました。
個人的には、すでに修士課程に入学した今改めて考えると、この選択をして良かったと思います。なぜなら、結果的に私はデータサイエンスの、数学的・統計学的な理論の側面よりも、実際にコーディングをして、データを操作する方により強い興味があったからです。
定理の証明や、理論の部分を理解することももちろん重要ですが、私は自分で手を動かして、プログラムを組みながら、変数の挙動などをみながら理解するタイプだったようだと、今の修士課程に入学してから気づきました。
理論だけを学ぶよりは、理論と実践を組み合わせて学びたい、ということです。
国内大学院の入試を受けるべきか?
国内の大学院の院試を受けて、海外の大学院に進学するまでの間日本の修士に籍を置いたほうが良い。修士課程に在籍している方が、指導教員からの推薦状の説得力が上がる。奨学金や大学の選考の際、空白の期間があるよりは、修士課程に通っていた方が評価される。また、今は学部4年の冬に出願することを考えているだろうが、もし結果が振るわなかったら、修士1年の冬や修士2年の冬に出願しても良い。休学制度を活用して留学に行く手もあるし、総じて院試を受けた方が選択肢が増える。
とのアドバイスを頂きました。結局私は、院試の勉強にかける労力を考慮した上でも、国内の修士課程というプランBを確保しておきたいと思いました。交換留学の可能性もその時点では捨てていなかったという理由もあります。
また、実際に渡航した今振り返って考えてみても、この国内の修士課程という選択肢を残しておいて良かったと思っています。私は、国内の修士課程を受験するだけではなく、実際に入学し、ドイツの修士課程が始まるまでの半年間の間在籍していました。
さらに、ドイツの修士課程に進学した際も、国内の修士課程は退学するのではなく、休学という身分で学籍を残しておいています。休学は最長2年間できるので、その間であれば、ドイツの修士課程が嫌になったら・もしくは何かの事情で続けられなくなったら日本の修士課程に戻ってくることができます。
他の記事でも書いたように、ドイツの冬の気候は厳しく、特に1学期目は慣れないことも多く、精神的に不安定になることがそれなりの回数ありました。そんな時に、国内の修士課程という2番目の選択肢があったことは、私のメンタルヘルスの維持に大きく貢献していたと思います。
博士からの留学でも遅くないのでは?
こちらに関しては、ドイツの修士課程に留学中だった先輩からは、
海外で博士をとることを考えているなら尚更修士で出ていくと良い。博士に出願する際、同じ国の知り合いの教授のもとで学んでいた人の方が親近感が湧くし、繋がりも作れるから。
とおっしゃっていました。私は、修士課程のあとドイツやイギリスの博士課程に進みたいと考えているので、確かに修士から海外に出たら良いと思いました。また、アメリカで修士をとった先生からは、
博士に行くか迷っているなら、アメリカのPhDを勧める。初めの二年間を修了したら修士の学位ももらえるところが多いから。その時に研究を継続してPhDを取るか就職するか選べる。
とのアドバイスをいただきました。結局アメリカには進学しませんでしたが、こちらも参考になりました。最終的に、私は、博士への進学を見据えてコネクションを作りたいためと、もう少しコースワークを続けたいという理由で修士から留学することに決めました。
日本では修士課程は15単位くらい授業を受けて大部分を研究に費やしますが、ドイツを含む海外の修士課程の多くは、授業を大量に取ります。私は修士課程から若干専門を応用寄りに変更しようと思っていたので、コースワークで基礎から学べることはメリットでした。
「現状への不満」は動機として不十分では?
私が大学院留学をしたいという旨を指導教員に打ち明けた時、幸いなことに指導教員は親身に話を聞いてくれました。その中で、指導教員は、
あなたは何か今の環境に不満があるのか。
と尋ねてくださりました。私は日本で生きていて、また日本の理系学部に1割未満の女子学生として所属していて、生きづらいと感じることがそれなりにありました。だから、入学した時から留学を実現したいと思っていたこととは別に、今とは違う環境を選んでみたいと思っていました。そのことを打ち明けると、
現状に不満を抱いていることが成長の原動力になるので、そういう理由があるなら早く外に出て行ってみた方が良い。現状への不満も立派な動機だと思う。
と励ましてくれました。結果として、私は、「留学の夢を実現したい」という積極的な動機と、「現状に不満があり、違う環境を選びたい」というやや消極的な動機の二つに支えられて大学院留学の準備に取り掛かることになりました。
この、消極的な動機は、語学の地道な勉強をしていたときや、夥しい書類関係の手続きに追われていたときに特に支えになりました。
私の周りには、学部や学科が異なる人も含めて、海外の大学院に進学したいと思っている人はいませんでした。そして、海外の大学院に出願するためには、語学や成績の維持なども含めると数年かけて計画を進めなければなりません。
その計画を孤独に遂行するとき、私の場合は、「海外の大学院なんて合格できないんじゃないか」「他のみんなはこんな地道で孤独な作業なんてせずに、研究に専念しているのに」と思うことが少なからずありました。
その状況では、「留学の夢を実現したい」という積極的な動機だけでは、海外進学へのモチベーションを維持には不十分だったと思います。それだけでは、どこかでやめてしまっていたでしょう。「環境を変えたい」という消極的な動機があったからこそ、辛い時も頑張れました。
終わりに
これらの相談・アドバイスを経てもう一度留学の意義を考え直した結果、私は国内の修士課程の受験と並行して、学部時代より少々応用を志向した修士のプログラムを受験することにしました。また、異なる文化を持つ国に身を置いてみたいという思いを、出願の動機の一つに位置付けました。
色々な人から意見をもらい、自分の中で再考することを積み重ねて、自分が留学する動機をよりじっくりと考えることができたと思います。また、その過程を実際に留学を開始した今の自分が振り返ってみると、色々発見があります。立志編は一旦この記事で終わりです。
次回以降は、海外の大学院出願に向けて私が実際にやった出願のための手続きについて記事を書こうと思います。それでは!
【ドイツ大学院出願】立志編④ 留学の無料相談を利用する
前回の記事までに書いたように、大学院留学について情報を集めているうちに、様々な疑問・不安が湧いてきました。
それらの疑問に対して、一人で考えて解決できたこともありましたが、人からもらったアドバイスの中で解消できたこともありました。
自分とは異なる立場の人・異なる視点を持った人からのアドバイスは大変有益で、狭まりがちな私の視野を少し俯瞰的にしてくれたと思います。
今回は、留学のコンサルタントの方に無料相談に乗ってもらった際に、参考になったアドバイスについて語ります。
前回の記事はこちらです。
出願にコンサルの利用は必要か?
ツイッターでこのようなことを呟いたところ、ある方から複数のコンサルティング会社について教えてもらいました。以下のところです。
アゴスジャパン
(アゴス・ジャパン)は、MBA・LLM・大学院・大学留学を目指す人たちのためのテスト対策、出願対策の指導専門校です。(公式サイトより)
TOEFLやIELTS、GMATやGRE, SATなどのテスト対策や、海外大学への出願を全体的にサポートするプログラムを提供しています。
留学ジャーナル
こちらも、高校留学や語学留学、社会人の留学など、さまざまな種類の留学のサポートを提供しています。無料留学相談もあります。
大学院留学コンサルティング
こちらも、高校留学や語学留学、社会人の留学など、さまざまな種類の留学のサポートを提供しています。無料で利用できる、大学院留学セミナーや初回コンサルティングもあります。
Beo
beoは2000年、日本で初めてイギリス正規留学を無料サポートする機関として事業を始めました。現在はアメリカやオーストラリアでも数多くの大学や語学学校と提携し、英語圏主要国へのさまざまな種類の留学を支援するサービスをご提供しています。(公式サイトより)
とあり、大学や語学学校と提携して、留学のサポートを行っている点が特徴的です。無料で利用できる留学WEBカウンセリングもあります。
SI-UK
こちらは、イギリスやアイルランドへの留学に特化した留学支援を行う機関です。豊富な無料イベントや無料の個別相談を実施しています。
結局、私は上記のような包括的な出願のコンサルティングは利用しませんでした。ドイツに対応しているサポートが少なかったためと、金銭面での負担が大きすぎると判断したからです。
ドイツの場合は出願に必要な書類を集めて、十分に注意して出願に望めば、自力でできそうだと思いましたが、多くの大学に出願する場合や、出願の手続きが複雑な場合は、留学のコンサルティングを利用するのも一つの手だと思います。
留学の無料相談に参加してみた
おそらく金銭的に厳しい留学コンサルは利用しないだろうと思っていたものの、少しでも留学に関するプロの方をお話しできる機会があるなら試してみたいと思い、留学の無料相談を利用してみることにしました。
留学の無料相談は、DAAD(ドイツ学術交流会)の実施している留学無料相談を利用させていただきました。この時点では、ドイツに出願するだろうとほぼ心の中で決まっており、ドイツに特化した情報が必要だったからです。
留学の無料相談に参加するにあたって、過去に海外大学院への出願を経験された方から以下のようなアドバイスをいただきました。
無料相談の際は、可能であれば現在のGPA(成績書があれば尚よし)、CV、TOEFL/IELTSの成績(英語圏の場合)などあればコンサルタントの方もあなたがどのレベルにあるのか判断しやすくなるかと思います。
ですので、自分の成績、英語力を把握し、CVを作成した上で臨みました。
DAADの無料相談では、実際の合格可能性などを判断してもらえたわけではありませんでしたが、ドイツの修士課程の事情を詳しく聞けて非常に勉強になりました。具体的には、以下のようなことです。
Modified Bavarianという日本のGPAをドイツ式に変換する数式のこと
ドイツの企業は大学の卒業生を採用する際、インターンシップの経験があることを前提としており、ドイツの学生は休学をしてでもインターンシップに参加すること
理系の日本人の需要が高いこと(MINT: Math, Informatics, Natural Science, Technology)
この話を聞き、私がドイツの大学院に出願するにあたって、より具体的なイメージが持てました。また、出願するにあたって、何をアピールすれば良いかもわかるようになりました。
留学の無料相談に参加して
個人的には、このDAADの留学無料相談に参加して非常に良かったと思います。留学に常に関わっていて、経験も豊富な大人の話を無料で聴けるのは非常に貴重な機会だったと思っています。
また、この留学の無料相談は1人あたり20分しか利用することができませんでした。
ですので、私はその20分を少しでも有意義なものにするために、インターネットを使った情報収集は事前にある程度しておきました。そして、インターネットで調べただけではよくわからなかったこと、ネットだけではあまり出てこない、リアルなドイツの学生事情を中心に質問することを事前にまとめていました。
インターネットで調べてわかることを、専門家に聞くのはとてももったいないと考えたためです。
その結果、この留学相談は非常に私にとって有意義なものになったと思います。
終わりに
自分一人で調べてわかる情報には限界があります。ある程度、インターネットで情報を集め切ったと思ったら、その過程で湧いてきた疑問を専門家にぶつけてみましょう。
留学の無料相談は、情報を集めるために利用するのではなく、自分が集めた情報をもとに思いついたアイデアや疑問を、プロ相手に検証するために使うのがおすすめです。
以下の記事に続きます。
【ドイツ大学院出願】立志編③ 学位留学について情報を集める
こんにちは。前回の【ドイツ大学院出願】立志編② 交換留学に申請するも、中止になるで書いたように、晴れて交換留学に申し込んだ私は、新型コロナウイルスの流行により交換留学の中止を余儀なくされました。
この記事では、そこからどんなプロセスを経て交換留学ではなく、海外の修士課程への学位留学へと舵を切ったのか、という部分を書きます。
前回の記事はこちらです。
2020年4月ごろ-志望校の検索
どの国に行くか考える
どれくらい現実的な選択肢があるのか知るために、初めはまずあまり厳しく条件を絞らずに進学先としてあり得る大学をひたすら調べていました。
そして、どの国に、私の専攻する分野のプログラムがどれくらいあるのか調べた上で、どの国に留学するかを決めることにしました。以下のことを、留学先国を絞る上で最低限の条件だと考えていました。
学費が年間50万以内(日本の国立大学と同じ程度)
英語で修了することができるコースがある
IELTS 6.5または7.0で出願できるコースがある
数学の学士の学位で出願可能なコースがある
出願時期が早すぎない(IELTSのスコアメイクが間に合わない)
そうすると、ドイツ・ベルギー・スイス辺りが有力そうだと思い、留学先の国はその三国に絞りました。ベルギーやスイスは出願の締切がドイツよりもやや早かったので、IELTSのスコアメイクにかかる時間を考えたら、おおよそドイツの大学院をメインに出願するだろうな、という見通したが立ちました。
GREのスコアの提出が必要なアメリカや、授業料・英語の要求スコアが共に高いイギリス・オーストラリアはこの時点で留学先の国の選択肢から外しました。
留学先の国については、先に絞りすぎるのはよくないという意見もあります。でも、私の場合のように、留学準備を始めるのが遅く、金銭面・語学面での制約が多い場合は、その制約に則って先に国を絞ってしまっても良いと思います。
進学するプログラムを探す
国を絞った後は、どんな修士課程のプログラムがあるのかをひたすら調べました。以下に志望校探しに役立ったサイトを掲載します。
INTERNATIONAL PROGRAMMES IN GERMANY 2021/2022 ドイツ国内の学位プログラムを、学位の種類(学士・修士・博士)や言語、分野の条件で検索することができます。DAAD(ドイツ学術交流会)という期間が運営しているサイトです。
Higher Education Compass ドイツ国内の学位プログラムを様々な条件で検索できます。
European Master in Official Statistics EU内の、統計学に関する学位プログラムがまとめられているページです。Collaboration in Research and Methodology for Official Statisticsという機関が公表しています。
ヨーロッパ国内の複数の大学で修士号を取得できるプログラムを検索できます。奨学金がついてくるものもあります。希望条件に合えばこのようなプログラムを利用しても良いと思います。
- 各大学のウェブサイト 「(大学名) master in English」などと検索して大学ごとにプログラムを検索します。
上のサイトなどを活用して、出願要件に合致する大学をエクセルシートなどに書き出しました。
私が出願したのがドイツの修士課程なので、このブログでは「ヨーロッパの修士」に関する情報が中心になっていますが、アメリカやイギリスなどの大学院に出願する場合でも、同じような、プログラムを条件を絞って検索できるサイトを使うと効率が良いと思います。
2020年4月以降-情報収集
また、同時期から、留学関連のイベントによく出席していました。
米大学院学生会さんの留学説明会(夏季と冬季) 出願経験談を聞いて、大まかな出願の流れを知ることができます。出身大学・渡航先ともに様々な方のお話を聞けるので、自分の求めるモデルケースが見つかるはずです。
DAAD(ドイツ学術交流会)さんのドイツ留学説明会 ドイツの大学の事情・ドイツでの生活について知ることができました。留学先の国が一つに絞られているので、質疑応答などでも自分の留学プランに応用できるものが多く、非常にためになりました。
Study in Europeさんのバーチャルフェア ヨーロッパ全域の学位プログラムについて広く情報が手に入ります。
終わりに
交換留学の中止後、それでも海外に行きたいと思い必死になって情報を集めた時期でした。実際に、学位留学がどれくらい私にとって実現が可能なのか、ということを図るには、留学に関する知識と、たくさんのモデルケースが必要でした。
プログラムの情報収集を通じて、「何とか年度末までに出願準備が間に合いそうな学位プログラムがいくつかあるぞ」とわかり、説明会での登壇者の方々のお話を伺って、「この人たちはとても優秀だけど、出願スケジュールなどを見る限り再現不可能ではないぞ」と思えました。だからこそ、学位留学を目指してみようと思いました。
以下の記事に続きます。
【ドイツ大学院出願】立志編② 交換留学に申請するも、中止になる
初めまして。ドイツのデータサイエンス系の修士課程に所属しています。出願の経緯について、どんな地点(語学力・学力)から出発して、出願に至ったのかという経緯を、いくつかに記事に渡って記事にまとめています。
前回から続く全5回の記事は、「立志編」です。私がなぜ海外大学院を目指そうと思ったのか、その心の動きの部分を中心に書きます。
前回の記事はこちらです。
2019年(大学3年生)
語学留学を終えて
3週間の留学を終え、「行動と結びつけた学び」が自分に向いているとわかった私は、やや行動的になり、この1年間で様々なことに挑戦しました。
年度のはじめに国際交流系のサークルに入り、留学生と同じ家に住む共同生活を開始しました。今まで日本語を流暢に話せる人がほとんどだったので、留学生とは日本語で話していました。
それでも、海を渡って日本にわざわざ来るような留学生には優秀な人が多くて、英語も堪能な人がほとんどでした。英語の方が日本語よりも得意な留学生同士が、英語で話しているのをみて、格好良いなあと思うようになりました。
寮には、たまに日本語があまり上手ではない人が見学に来ていたので、その時は英語で対応していました。その時、私も英語があまり話せずに、恥ずかしい思いをしました。そんなこともあり、英語がもっと上手になりたいと思うようになりました。
6月に、夏インターンシップへの選考を意識して、統計検定を受験することにしました。その結果を提げてインターンシップに応募したら選考に通り、マーケティングにおける様々なデータ活用の例を学ぶ機会に恵まれました。
交換留学への挑戦
徐々に「やはり交換留学にも挑戦したい」と思うようになりました。これは、同じサークルの留学生から、 「あなたの英語は勉強している感じがするね。きっと留学したらすぐに英語は上手になるよ」と褒めて(?)もらえたのが嬉しかったこと、日本にきている留学生を関わる中で、留学が身近に感じられたことなどが原因です。
また2年生の頃に一緒に短期留学した学生がこの夏から交換留学に行ったという影響も大きかったです。
交換留学のために行った準備は以下の2つです。
英語学習
この年の夏にオンライン英会話を初めました。英語四技能の中で、リスニングとスピーキングが著しく苦手だったからです。カランメソッドという、中学レベルの文法を会話の中で使えるようにするトレーニングでした。その結果、初のIELTS(同年12月)で5.5(B2)(L5.0 R6.5 W6.0 S4.0 )を取得しました。
GPA工作
2019年後期と2020年前期の2学期間で、合計13.5単位の科目を再履修して、GPAを2.6から3.16まで上げました。(卒業時GPAは3.22) 交換留学に申請する際、大学別の申請に必要な条件としてGPA 3.0以上を求めている大学が多かったためです。
交換留学生に応募する条件を満たすことができたので、学内募集に応募しました。そして、2020年の初めごろに選考を通過し、晴れて大学から交換留学生として推薦していただけることになりました。
新型コロナウイルスの流行と、交換留学の中止
所属大学から交換留学の学内推薦をいただきほっとしていた矢先、新型コロナウイルスの流行が始まりました。この時は非常にショックで、また院進学も考えていため、留学のタイミングや、国内の大学院入試を受けるか否かなどを真剣に考える必要がありました。
国内の大学院進学以外に、海外の大学院進学を考え始めたのはこの時期でした。交換留学が中止になった上に、今後数年は交換留学に行くのが難しそうだという話を留学経験のある友人に相談したら、その時期にドイツの修士課程に在籍していた学生を紹介してもらいました。
国内・国外にかかわらず、修士課程には進学するつもりだったこと、そして、交換留学を延期して、留学したい気持ちを抱えたまま日本に留まることはできないと思ったことから、海外の大学院出願に向けて調べることにしました。
交換留学は中止になったが、その準備にかけた時間は無駄ではなかった
私はこの後新型コロナウイルスの影響で交換留学の中止を余儀なくされました。しかし、この交換留学のために行った、語学力や成績面の準備は決して無駄なかったと思います。今では、学位取得型の留学に応募する際に、役に立ったと思っています。
自己を分析するという意味でも交換留学の準備は良いきっかけになりました。交換留学に申請する際、留学の目的を明確化する必要がありました。前述の通り私は、「知らない景色を見てみたい」という純粋な欲求から留学を志望していたので、自分が専攻する分野がどのように社会に寄与するか、なぜそのために留学が必要なのか、など考えたこともありませんでした。
むしろ、自分の人生を豊かするために、自分の持つ専門性を利用して留学の夢を実現したいという独りよがりな動機だけがありました。
当然、申請書作成の際は苦労し、一度は申請のチャンスを逃しました。しかし、初めは上手く自分の留学の意義を見出せなくても、長い時間をかけて考え続ければ、何か見えてきます。私の場合は、1週間のインターンシップを通して得た学び・発見した課題と関連づけて、全くの嘘ではない動機文を完成させることができました。
終わりに
留学を志す人はまず、最低限の語学力と成績を獲得すること、そして自分の人生の糧となるような経験を手当たり次第に積んでみることをお勧めします。経験は、サークルでも、数日程度のインターンシップでも、なんらかのトークイベントでも良いです。
自分を常に新しい刺激に晒し、価値観を更新する機会を意図的に作れば、留学につながるようなストーリーを作ることができると思います。
また、留学を目指すということは、当然何かの理由で留学に行けなくなってしまうリスクもあるのですが、留学のために行う準備(成績を維持したり、語学の勉強をしたり)は、普遍的で、他の場面でも役に立つということがあると思います。
「仮に留学に行けなかったとしても、語学力だけは残る」とポジティブに考えて、思い切って挑戦してみるのが良いと思います。
以下の記事に続きます。
【ドイツ大学院出願】立志編① 短期の語学留学に参加するまでの話
初めまして。ドイツのデータサイエンス系の修士課程に所属しています。出願の経緯について、どんな地点(語学力・学力)から出発して、出願に至ったのかという経緯を、いくつかに記事に渡って記事にまとめてみようと思います。
この記事をはじめ、出願に関連する一連の記事は、私が自分が出願にあたって言語化してきた様々なことを形に残したいという思いで書いています。
願わくば、過去の私のように留学に挑戦したいが勇気が出なくて燻っている学生や、何かの意味でマイノリティで現状に不満がある学生に読んで欲しいです。
実際に、私も海外の大学院に出願するにあたり、過去に出願された方の体験談などをブログで読み漁りました。そして、出願に関する具体的なことから、心情面の変化まで、いろいろな情報を先人の経験談から得ました。
海外の大学に出願するという、あまり人がやらないことをする以上、モデルとなるケースが必要になると思います。身近に同じような経験をした人が少ない場合は尚更です。
ですので、この一連の記事も、私の1体験談を共有するために書きます。そして、それが今後、私と比較的近い地点からスタートして海外の大学院に出願する人にとっての、モデルケースになれば良いなと思います。
今回と次の記事は、「立志編」です。私がなぜ海外大学院を目指そうと思ったのか、その心の動きの部分を中心に書きます。
2017年(大学1年生)
ぼんやりと、交換留学をしたいと思っていた
大学入学前から、大学に入ったら留学をしてみたいという思いがありました。入学前は海外に出たこと一度もなく、日本ではないどこかで暮らして、違う文化に触れてみたいという純粋な欲求があったからです。
また、高校の頃の同級生が非常に語学が堪能で、進学や留学の機会に関する情報感度が高く、多少影響を受けてもいました。
大学に入ってからすぐに、留学に関する説明会に参加したり、留学に行った先輩の話を聞いたりしていました。その中で、大学にいる間に一度交換留学をしたいとより強く思うようになりました。
一方で、学位留学は、語学力や学力が非常に高い人だけができることで、自分にはとてもできそうにないと思っていたので、考えたことすらありませんでした。
交換留学を実現するために、まずは語学留学をしてみようと思った
大学入学時の語学力は、英検二級程度で、大学一年生としては悪くないが、交換留学をするには足りないというレベルでした。そこで、語学力を上げるために、まずは所属大学の主催する短期留学プログラムに参加してみようと思いました。
短期留学プログラムの説明会に参加し、志の高い過去の参加者のプレゼンテーションに圧倒され、一度は参加を断念しました。自分がそのプログラムに相応しい人間だとは思えなかったからです。
しかしその後、「プログラムの最低決行人数に満たないので追加募集を行う」というメールが来て、ダメ元でも良いから応募してみようと思い、応募しました。
応募すると、書類を一式揃えたのち、面接に呼ばれました。面接官は、その短期留学プログラムの世話教員の方でした。英語ができないことがコンプレックスだから、この研修に参加して英語力を上げたい、と話しました。
すると、面接官の方に「英語ができないというけど、あなたの読み書きのレベルはうちの大学の新入生の中では上位20%に入るし、そんなにできないわけではないのでは」と言われたのを覚えています。
最後の3分くらいだけ英語で話しました。
英語で質問され、質問の意図を誤解し、質問に沿ってない答えを1分くらい下手くそな英語で話していたと思います。絶対に落ちたなあ、と思ったのですが、合格していました。
一度諦めかけたプログラムに、運良く拾ってもらえて幸運でした。当時の私は「何か新しいことに挑戦してみたい」という漠然とした思いはあったものの、行動に移すのが遅く、いつもギリギリになってジタバタと動き出す人間でした。
2018年(大学2年生)
短期留学プログラムの事前研修について
私が参加した短期留学プログラムは渡航前10ヶ月の事前研修付きのものでした。ですので、その研修の中で、同じプログラムに参加する学生と交流したり、語学を学んだり、留学先の国の文化を学んだりしていました。
しかし、私は、短期留学というものがどんなものなのか、短期留学を有意義にするためには何が必要なのか、あまりわかっていませんでした。
だから、事前研修も言われたことを受動的にこなすだけで、自分からその内容を吸収しようという姿勢ではありませんでした。
今思うともったいなかったなあと思う一方で、海外に出たこともなく、留学中どんな生活を送るのか、どんな学びがあるのか、どんな準備をしておくと良いのか、全く想像つかなかった私が、その準備に能動的に取り組むのは難しかったんじゃないかなと思います。
短期留学中のこと
短期留学では、英語でのコミュニケーションに難はあったものの、多くの学びが得られました。
そのプログラムでは、語学に関する科目と、自分の興味のある分野の科目をそれぞれ履修しつつ、その国の文化を体験するアクティビティや、現地の学生・教員との交流を深めるアクティビティに参加することができました。
このプログラムでは、体験と知識を結び付けて学ぶという手法が一貫して用いられており、この方式は私にとって新鮮なものでした。
例えば、英語を学ぶ授業では、教室でただプレゼンテーションをしたり英語の本を読んだりするだけではなく、教室の外に出て、実際の生活に近い環境で英語で話すということを行いました。
また、英語の詩や文学を読んだ後に、それを元に創作をして、寸劇を行うということもしました。
イギリスの建築の歴史についてのコースでは、理論を学んだ後、実際に近くにある建築物を見に行きました。
このような、実際の環境に近い場所に行ってみたり、想像力を働かせながら英語の表現を身につけたりする学びは私にとってはとても刺激的なものでした。
そして、学生と教員の距離が近く、たいていのことは求めればなんでも答えてくれました。私が、「ゴシック建築に見られる数学的美しさの話をもっと聞かれて欲しい」とお願いすれば、懸垂線を用いたアーチの話をしてくれました。
短期留学後のこと
この時に経験した短期留学を通して、私は以前よりも、「体験と結びついた学び」を重視するようになり、様々な学びの機会をアンテナを張って探すようになりました。
例えば、留学の機会や、学んだことを実際に生かして働けるようなアルバイトやインターンシップなどです。やろうとしたことが全てうまく行ったわけではありませんでしたが、得たものもありました。
また、大学の先生などは案外こちらの要求に答えてくれるということを学び、所属する大学のリソースをもっと活用して、成長したいと考えるようになりました。
また、短期留学から帰ってきた後、「いつかまた海外に行きたい」と思いました。短期留学に行く前よりも、留学で得られる経験や、そこでの生活についてのイメージが鮮明になったからです。
終わりに
この記事では、短期留学に参加した理由、そして参加するまでの心境の変化について書きました。
次の記事に続きます。
ドイツに渡航してすぐに、お医者さんに2回かかった話
こんにちは!この記事では、私がドイツに来て半年の間に二度お医者さんにかかった話をします。
こんな人に読んでもらいたい
- ドイツに来たばかりで、インフルエンザの予防接種を受けたい人
- ドイツに来たばかりで、低用量ピルを服用するために婦人科を受診したい人
どうしてこの記事を書こうと思ったのか
この記事を書こうと思った理由は、ドイツに渡航して間もない人に、病院にかかる精神的なハードルを下げてもらうためです。
海外で女院にかかるというだけで、とても緊張します。どこに病院があるのか、病院に予約は必要なのか、何と言って病状を伝えれば良いかなど、考えるだけで億劫になると思います。
ですので、私がドイツに渡航してからすぐに病院にかかった話を共有して、然るべき保険に入っていたら、案外気軽に病院に行けるということを知ってもらいたいです。
医療は非常にクリティカルなトピックなので、安易に発信して良いものではないと思います。ここで読んだ頃を100%あてにするのではなく、自分できちんと調べてください。
それでもこの記事を書いているのは、日本語での情報があるとその後の英語・ドイツ語での情報収集が楽になると思ったためです。
医療保険について
ドイツの多くの医院では、医療保険の加入済みカードを見せるか、医療保険の加入済み証明書を見せることで保険が適用されます。
医療保険に加入したもののカードがまだ発行されていない人も、加入済み証明書があれば保険適用になるので、カードの発行を待たずに病院に行くことができます。
加入済み証明書のみで診察可能かどうかは、病院の総合予約サイトや、病院のサイトで確認できることが多いです。
医院の検索方法
以下のウェブサイトから医師の検索を行うことができます。
jameda - Arzttermine online buchen & Bewertungen lesen
Doctolib | Buchen Sie Ihren Termin online bei einem Arzt oder einer Gesundheitsfachkraft
このサイト上で、医療分野の名前・地域・医師の話す言語で絞り込むことができます。
Hausarzt と入力すると、家庭医の検索を行えます。ドイツでは家庭医のもとでインフルエンザの予防接種を行えます。
Frauenärztin (Gynäkologin)と検索窓に入力すると婦人科専門医の検索を行えます。
医院の予約方法
ウェブサイトで条件に合う医師を見つけたら、予約をしましょう。
まず、その医師が初診のオンライン上での予約を受け付けているかを確認します。そして、初診のオンライン上での予約が可能なら、最短でいつ初診が可能か確認しましょう。
多くの場合、初診のオンライン予約はできません。婦人科の場合は、初診の場合、数ヶ月先の予約になることがあります。
初診のオンライン上での予約が不可能な場合、そして可能でもその日程が合わない場合は、直接電話をかけましょう。
家庭医でインフルエンザの注射を打つ場合、fluと言うよりinfluenzaといった方が伝わりやすいです。
ドイツの婦人科では、来院する目的の緊急度が高い人が予約を優先的に入れられるようです。ですので、すでに日本で何かしらの病名を診断されている場合は、その具体的な病名を伝えましょう。
日本から持ってきた薬を切らしてしまう時期がわかるのであれば、それも伝えましょう。いずれにしても、予約を取れるのが数ヶ月先になることもあるので、早めに医師の検索・予約をすることをお勧めします。
インフル予防接種の流れ
受付に行くと、初診の場合書類を書きます。待合室で5分ほど待ったあと呼ばれ、医師の処置室に行きます。接種後、ワクチン手帳は要るか聞かれました。また、家庭医として婦人科など他の専門医を紹介できるがどうするかと聞かれました。
婦人科の診察の前に準備したこと
飲んでいた薬の名前を調べて、その薬を持参しました。また、自分の疾患関連の単語を英語で覚えていきました。できれば、ドイツ語でも覚えて行った方が良いと思います。
婦人科の診察後日談
診察では、おおよそ日本の婦人科でも聞かれるようなことを聞かれ、検査をされて、私が日本で服用していてピルについて伝えると、幸い同じ種類のピルがあったためそれを処方してもらえました。このピルは、ドイツではあまり主流では内容で、値段も日本のと同じくらいでした。(1シート2500円くらい)
診察中に、ドイツには何年いる予定かと聞かれ、2年と答えたので、おそらく2年で帰るのであれば日本でまた同じ薬の服用を再開できるように、多少値段は高くても、同じ種類のものを継続して服用するのが良いと判断されたのだと思います。
診察の最後に、性病検査を受けたことがあるかと聞かれ、ないと答えると検査キットを渡されました。
診察に関しては保険が適用されるので、ドイツの公的医療保険のおかげでお金はかかりませんでした。薬代に関しては自己負担でした。
2回目以降のピルの処方
1度目に処方してもらったピルを使い切る予定の1ヶ月前くらいに電話をかけたところ、2回目以降は診察は要らず、処方箋を発行するだけで良いと言われました。
お願いしたら、20分ほどで処方箋を発行できると言われたので、後日受け取りに行って、薬局で薬をもらうことができました。診察の予約が要らないことに一安心しました。
最後に
渡航後まもない人にとって、海外の病院にかかることはややハードルが高いと思います。そのハードルを少しでも下げられたら良いなと思ってこの記事を書きました。